(読書メモ)ソーシャルファイナンスの可能性

雑誌の内容がすごい面白かったのでここにメモ。

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NPOジャーナル no22
特集:ソーシャルファイナンスの可能性

■コミュニティ・バンクmomo
NPOバンクは寄付ではなく「出資」を集めており、出資者は請求すれbあ払い戻しを受けることもでき、元本割れのリスクもあるために「自分の大切なお金」という意識を持って、お金の行き先に常に着目し続ける。
ただ融資をするのではなく、「お金をツールに繋がりをつくる」ことが大事両者が繋がることで地域の事業を一緒に育て上げることが目的

  • 出資者の声を寄せる:環境、福祉、まちづくりなどの融資先希望事業や、出資した理由、融資先に期待することなどのメッセージをwebサイトに掲載→出資者は他の出資者にどんな人がいるか、融資先にはどんな想いが込められたお金を融資されているのか、繋がりを実感してもらう
  • 融資先の情報をwebサイトやニュースレターなどを通して公開→融資したお金が何に使われるか、事業者と出資者との間につながりを見いだせるかが、融資決定の重要な判断基準となる
  • ネットや紙媒体だけでなく「momo labo」「momo cafe」「融資先訪問ツアー」など、出資者‐融資先が交流するイベントも実施


>座談会 「ソーシャルファイナンスの確立に向けて」

  • 東京コミュニティパワーバンク 坪井眞理さん
  • ソーシャルベンチャーパートナーズ(SVP)東京 井上英之さん
  • 近畿労働金庫地域共生推進室 法橋 聡さん
  • (聞き手)三井UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 水谷衣里さん

(以下敬称略)

井上:投資組合の会員=パートナーが出資、運営する仕組み。パートナーはお金を出すだけでなく、それぞれの専門性を活かした時間の貢献もしている。IT、会計、マーケティングなど分野は様々で、投資先のキャパシティビルディング(経営強化)に一緒に取り組む。→これを機に自分の仕事の意味、会社のあり方や人生を見つめ直す契機に。
若い日本人のビジネスパーソンは、国際的に決して劣っておらず、人柄もよく、力もあるのに、どこか「成仏しきれない」。これは非常にもったいない。→下を向いた職業観を上向きにする。投資先のNPOに直接接し、その悩みや素晴らしさに触れてもらえれば、理解も深まり、個人としての情熱も湧いてくる。つまり一番大切なのはヒューマンファクター。

法橋:ろうきんは間接金融。2000年からNPO法人向け融資をスタート。この融資制度を発展させた2つの仕組みを創っている。「きょうと市民活動応援提携融資制度(長っ!)」は、労働組合の地域の総合的な連携テーブルである京都労働者福祉協議会からの預金を担保に、府内NPO向けの専用融資枠の創設。きょうとNPOセンターと連携し、公益性の審査を担っている。

坪井:お金を出したらその先を考えないといけない。お金についても自治をする。改正貸金業法などの規制強化に対して、全国のNPOバンクの人たちと「全国NPOバンク連絡会」というネットワークを作り、金融庁と闘っている。イギリスのコープ銀行などはそうやって社会に新しい仕組みを実験しながら見せていった。このようなイニシアティブをとるところに、NPO的存在価値があるのではないか。

法橋:税金、預金など自分が出したお金が社会に回る時にどうなっているのか、皆がチェックし、監視する。指摘や批判などの車気あの声を上げることが、制度を変え、企業行動を促すだろう。

井上:SVPでしていることは、お金という面のみからとらえていない。投資とはお金だけでなく、創業に必要な人のつながりやアドバイス、応援、場所、情報なども含まれる。これらを提供してくれる人々を「励ましキャピタリスト」と呼んでいるが、こういう人がどれだけいるかで結果が異なる。

‐事業者と併走しているという特徴
法橋:貸しては圧倒的に強い立場。借り手の事業に分け入りすぎるとミッションを曲げてしまう可能性も。
井上:受け手側の問題として、お金がほしいがために自身の「弱み」を隠すこと。志がありながらも「弱み」を具体的に提示してもらえれば、みんながどう手伝えるかがわかるから。

‐お金以外の支援の組み合わせ
井上:SVPでは、色んな挑戦を始めた人がカジュアルにプレゼンテーションをし、聴衆に自分ができるおとや応援を表明する「ネットワークミーティング」というイベントを行い、豊かな生態系、コミュニティを創ってきた。続けていると、パートナーになってくれそうな人や、投資先の目星もついてくる。この場に投資審査に落ちた人も来てもらい、コミュニティの一因になってもらう。関係が続いていると、またいい関係が生まれ、再度挑戦したり、別の団体を連れてきたりする。このいい生態系をSVPの周囲につくることを意識している。

‐ソーシャルベンチャーキャピタルNPOバンク、金融機関では得意とする支援は異なるが、どうやってその得意技を組み合わせるのかというところに、ソーシャルファイナンスの枠組みづくりの鍵がある
法橋:きょうと市民活動応援提携融資制度の場合、きょうとNPOセンターで相談を受け、NPOの目線で色んな情報やりとりをし、借りる以外の選択肢の話をしたうえで、融資が必要となればろうきんに相談に来る。←市民センター、金融機関、資金の貸し手といった、それぞれの機能の組み合わせの妙によって成立している仕組みであり、それを民間ベースで作られてきたことに価値がある。

法橋:助成、アドバイス、融資、投資、人をつなぐなど、色んな機能が必要。それぞれの強みをお互いわかることで、ずいぶんと違いがある。
井上:事業の発展段階に合わせて、必要なリソースを提供できる機関がわかる、お互いの役割マップのようななものがあればいい。
←社会的事業者はほしい情報がどこにあるのかわからないので、それらを結び付けることが第1歩。そこで初めて事業者の本当のニーズが把握でき、その立場に立って考えられたソーシャルファイナンスの仕組みができてくる。仕組みはできても使う人がいないとならないように、関わる人が同じテーブルについて議論をする必要がある。


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