とよさと快蔵プロジェクトのおうち見学

前回の大規模開発とは対照的に、今回は地元NPOと大学生による空き家の再生について。

お世話になったのは、滋賀県豊郷町にて空き家改修を軸に色んな活動をされているとよさと快蔵プロジェクト滋賀県立大学の方々。
快蔵プロジェクトは2000年から行われていて、使われていない空き家の改修&学生によるシェアハウス、それから大家さんに返還したものもあれば、1階部分を地域の人の交流の場として使う「コミュニティハウス」としている物件も。
そのうちコミュニティハウスとして使われている3件を紹介していただきました。


コミュニティハウスはだいたいが1階がコミュニティスペース、2階が居住スペースとなっていて、主に学生さんが住まわれています。毎日オープンにしているわけではなく、鍵を開け閉めする人を地域の周りの人にお願いして、曜日と時間を決めて開放しているそうです。かといって学生は地域住民さんとあまりからまないのかと言えばそうではなく、家のハード面ではトイレや台所は共有していたり、積極的に場に参加したりとコミュニケーションがとられているそうです。


面白いなぁと思ったのは、意識してか無意識なのかわかりませんが、
うまいこと地元NPOさんと学生の役割分担がされているなぁということ。シェアハウスは基本学生が利用しているのですが、それだと学生が入れ替わるたびに大家さんと契約を交わさないといけないため、地元NPOがまとめて家を大家さんから借りて、学生はそれを間借りする形になっているのだとか。それで学生に住みながら管理してもらうのだとか。

 
写真はそのうちの1件。外にピザ窯と畑があります。この畑も家の鍵を管理されている方が作られているのだとか。学生も野菜を分けてもらって、食生活が潤っているそうです(笑)。


シェアハウスって、シェアすることでどんな暮らしをしたいかという「コンセプト作り」、その後色んなトラブルが発生した時にすぐに相談できる「管理人さん」がいることが大事じゃないかなぁと思いました。京都のシェアハウス「京だんらん東福寺」へ見学に行った時もそう思いました。
私の大好きな不動産サイト「ひつじ不動産」にも、「シェアによる暮らしでトラブルはつきもの。その時に第三者として相談に乗ってもらえる人が身近にいることは大事」といったことが書いてありました(このとおりに書いてあったわけではないです)。
ここでは地域の人同士のコミュニケーションスペースとして活用されることを目的として、地域の人が集まりやすい仕掛けがちょいちょいあります。それは土間を広く設けたり、土間続きで腰をかけられる場所を作ったりといったハード面だけでなく、管理人さんを地域住民さんから選んでお願いするというソフトな部分でもあります。

んーシェアハウスは奥が深い!!

そういえば、豊郷町けいおん!の聖地なんだそうです。
とびだし坊やの中にけいおんキャラが混じっていたりします。(参照:飛び出し女子高生その後http://485-ko-ma.at.webry.info/201007/article_3.html)ウチもたまたま「飛び出しりっちゃん」たるものを見つけました。あとで調べてみたところ、飛び出しりっちゃんはなかなか見つけるの難しいそうですよ!なんか嬉しい(*´∀`*)

ゼロから開発された住宅地って魅力的?

先日、大学の先生が企画された関西の集合住宅開発への見学会に参加してきました。

1つは箕面にある箕面森町、2つ目はグランドメゾン伊丹池尻リテラシー
どちらとも積水ハウスさんが企画・分譲されています。

1つ目の箕面森町は「田舎暮らし」をしたい人向けの分譲地。休日は都心から離れて自然でのびのびと暮らしたい、愛犬と遊んだり畑をしたり、趣味をしっかりしたい。だけど田舎に移り住むには職場の関係で難しい…そんな人のニーズに応えるための町だそうです。
 

田舎暮らしを楽しむ人の家と分譲地からの眺め(山の上にあるのでとても見晴らしがよいのです)

興味深いなぁと思ったのが、周りのスーパーへお気軽に行けるわけではないので、生協や食材宅配サービスを使うんだけど、そういう不便さにあまり不満は感じられていないそう。

それから近くにガーデニングや畑を楽しんだり、クラフトなどの活動をする場所「とどろみの森クラブ」も近くにあります。箕面森町の人だけでなく、近くの町の人も参加しているのだそう。

 
ツリーハウスを造っているんやって!めっちゃ楽しそう(・∀・)!ウチもやりたい(笑)


2件目のグランドメゾン伊丹池尻リテラシーへ。1階のカフェでパンをごちそういただきました!美味しかった♪
  

駐車場上を使った農園や、キッズルームとそれに併設されたライブラリー(ネット環境が整っているためお父さんがノートパソコンを持ってきて作業することも)等、共有部分がめっちゃ充実してます。
何よりもスゴイなぁと思ったのは、隣のイオンと繋がっていること!
 
イオンとの連絡口には玄関のようなオートロックになってて住民しか入れません。しかもカートのまま持って入れて返却も不要とか!アンビリバボーです。


さて、この取り組みを通じて感じたこと。
やっぱり「持続性」が気になります。1つ目の箕面森町なら、他のディベロッパーが似たことした時に箕面森町が勝てる競争力があるのか。2つ目のリテラシィなら、イオンが撤退したときに魅力があるのか。(実際、イオンがオープンするまではあまり分譲が進まなかったそうだし)

持続性と関連して、どちらとも管理運営の主体の舵とりは誰がするんだろうと思いました。住民さんがするなら、そのため分譲会社はどういうサポートやコーディネイトをしているんだろう。というかそういう役割として入っているんだろうか。魅力的な住環境づくりには、住民の声の反映やルール作りなんかは大事だと思うのですが。


人口がどんどん減っていくご時世、こういう開発によってできた町が魅力的であるためには、その後の管理運営が大事だと思うんですが、それがイマイチぱっとしないなぁと思いました。(わからなかっただけかもしれませんが)

『悩む力』

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)


自分が学生時代(まぁ今もですが)、きらびやかな生活を謳歌するまでもなく、色々迷走しつつ云々と悩んできたことについて、今でこそ「よく悩んでくれた!」と思えるのですが、やっぱり当時はとっても苦しかったです。

そして姜さんの「過去の自分はこうだった」という回顧に、私も大共感!

孤高の「自分の城」を築いて、そこから外をひっそりと眺めていたこともあるし
他人に承認されないことを思って嘆いたり
社会のレールに従って働くことを卑しく思ってmixiでそのことを吐露して先輩とガチ議論へ進展したり… ウフフフ 色々扱いにくいヤツだったなぁ。(今もだけど)

時にはうんうんと頷き、時には今思い起こすとワァアァァアと顔を覆いたくなるくらい恥ずかしいことをしてたなぁと、まぁ色々思い出しました。

で、この本の私なりに見出した軸は

  • 信じきれるものを自分で見出すこと
  • 結局何を信じるかは自分が決めるんだから、「私」についてとことん考えてみること
  • だけどその自我を全面に押し出して「築城」するんじゃなくて、他人との相互承認が必要。人は「ひとり」では生きていけないから。

だと思います。

最後について、それは「自分を折ることじゃないの?」とよく私も思ったことがあるのですが、それについて姜さんはシンプルにわかりやすい言葉で補足をしています。
「他人を承認するということは自分を曲げることではない。自分が相手を承認して、自分も相手に承認される。そこからもらった力で、私は私として生きていけるようになったと思う。私が私であることの意味が確信できたと思います。」

        • -

この本のレビューからは離れるのですが、私が大好きなマンガ家の羽海野チカさんもダ・ヴィンチの取材でコレに通じたことを話されてたな。

ダ・ヴィンチ 2011年 09月号 [雑誌]

ダ・ヴィンチ 2011年 09月号 [雑誌]

3月のライオン (1) (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン (1) (ヤングアニマルコミックス)

羽海野さんのマンガは本当に「ガチ」で問いかけている。悩むことが中途半端じゃない。そしてキチンと悩みながらも足を進める必要性を、しっかりと描いている。
それは何も悩んでいない人に説教する形ではなくて、同じように色々云々悩んでいる人に「それは悪いことじゃないよ、大事なことなんだよ」って手を差し伸べる感じで書かれている。

詳しくはダ・ヴィンチ9月号へ。10円刻みの違いでお昼ごはんをどれにしようか云々と悩む自分が、立ち読み5分後速攻レジへ向かうくらい、濃くてボリュームの厚い内容ですから。

「社会を変える仕事」に就くことについてのぽれぽれとした考察

お久しぶりです。
全く更新をしていないのにカウンターだけがくるくる回っていてビックリしています。
何かの手違いじゃないかと思っています。


今日、大学の学部の知り合いのイベントに参加しました。
内容はソーシャル・ビジネスの事業プランニングをするということ。
企画デザイン研究所の馬部久美さんを講師にお呼びしての、ガチの講座です!

講座の内容はすっごく良かったです。企画もとても良かったです。
課題として「ミッション」を抽出して、それを変えてどうしたいか「ビジョン」を描く。ただ、いきなりミッションからビジョンには繋がらないため、「ホップ・ステップ・ジャンプ」で小目標を定める、そしてその過程に出てくる「障害物」をイメージして、それを除去していく方法を考える。

それから、「ビジネス」として事業を興すためには、現在の社会がどういう仕組でビジネスをしているのか、お金を生み出しているのか考える必要があるとも思います。


ほんでやっぱり感じたのは
「ソーシャル、ビジネス、どっちにする?」と両極端にならずに、普通の民間企業で働きながらもソーシャルな部分に片足突っ込める状態でおきたいなぁということ。

ちょっと前は「社会のために良い事しなきゃ!ソーシャル・ビジネスしなきゃ!」とか思ってたけど、ウチには何か一つの事業を引っ張っていくだけのエネルギーはないし、新卒後は生活の基盤を作るためにお給料もちゃんと欲しいし、新しい趣味も始めたいし^^☆
だけど、「学生から社会人への連続性を描ける」という自分が受けた恩恵が、これからの学生さんにも提供できるようにしたいし、自分なりのスペシャリティを身につけて社会に貢献できたらなぁと思う。

千里ニュータウン

大学院の授業で、スゴイ勉強になる…というか面白いのがあります。


都市プランニング・システム論という、豊中市をフィールドにして都市計画や住宅政策について学び、豊中市に位置する全国でも有数の有名なNT「千里NT」の抱える課題を把握し、解決のための計画を考えるという内容です。

半期しかない授業なんですが、統計調査を整理し、実際にNTを歩いてみたり、NTで活動される方にお話を聞き、行政の計画書を読み…そして今日は豊中市でNTに関わる課の職員さんからお話を聞いてきました。


先日千里NTを街歩きして思ったのは、
(1)空間にとてもゆとりを持って造られているということ
(2)生活圏がとても計画的に作られていること
(3)緑地が共有化されていること


緑地の多さや(1)は特にこのNTの魅力だと思うのですが、それが崩れつつあるところが千里NTの迎えている大きな問題点だと感じました。団地も近隣センター(住区ごとの複合施設)もどこも老朽化が進み、建替えが求められているのですが、いざ建替えをする際に地権者の負担減少のために高度利用し、土地を売却することで負担減少に繫げるというモデルがどこまで通用するのだろう…空間を犠牲にして資産価値が下がらないのか…とかとか色々考えます。

ちなみにこの前のまちあるきの写真

手前のイスや机で住民同士で話するんかなぁとか想像

いたる所にいた動物の置物!おそらく…キリン?

駅前マンション。ここまで大きいものはできないと思うけど、こんなボリュームのあるものが住宅地の中に乱立して、今のような良い住環境が維持されるんかなぁ…?




今日の話でもURによる公団住宅や、大阪府の府営住宅が多く、地権者とそれら事業主の間で再建に関する合意がなされ、市の関与がしにくい状況にあるということ、だからこそ住民間でどのような住宅地にすべきかの合意・地区計画を立てることが、環境を継承していくキーだと感じました。

うーん。魅力ある住宅地を維持・管理していく手法「HOA(homeowners association)」はアメリカでは一般的らしいですが、こういった考え方も勉強したいな。

齊藤広子先生の『住環境マネジメント』が面白そうだし、読んでみよう。
そして何より今日もらった大量の資料を読んでいこう。

住環境マネジメント―住宅地の価値をつくる

住環境マネジメント―住宅地の価値をつくる

ワールドカフェ参加してきました

朝、桂川を散歩途中に寄った中村軒で買った和菓子たち。

青いのは紫陽花のイメージです。ホンマきらっきらしてて宝石みたいで、目にも美味しいお菓子でした♪



今日は、奈良で精力的に活動されているN君が立ち上げた団体、ならゆうしNPOが主催するワールドカフェに行ってきました。

杉岡秀紀さんのトークセッションで議論の火口が切られた(遅れて行った私は「切られていた」ですが^^;)のですが、ホントに話にグイグイ引き込まれていきました。ご本人は「眠たくならないように合間を取る」とおっしゃられていましたが、眠たくなることなんてなかった。
先人や起業家の言葉、諺、言葉の語源など、色んなコトバに関するネタを持って適宜引用されるところとか、もはや芸人。

このワールドカフェは「地域と学生の繋がり、学生のまちづくりへの関わり」がテーマでしたが、「どうやってまちづくりを仕事にしていくか」ということも大きな論点だったと思います。それに対する杉岡さんのアドバスは沢山あったのですが、特に私にとって印象が残ったのは「仕事は友達が連れてくる」ということ。色んな縁を大事にし、その縁に素直にいることで自然と仕事は舞い込んでくるということ。次関研の大島さんの会でも縁の大事さと仕事については語られていた。やっぱりこの業界では「縁」はキーワードのようです。


その後のワークショップも大盛況!!ツイッターで繋がりある人と会うことができて、オフ会みたいでもありました(笑)


新たな繋がりもできたし、この人の縁・これまでできた縁を大事にしたいなぁとひしひしと感じています。

震災復興系セミナーのまとめ

家を出発するときに、家の横で見かけた小さな花畑。

朝ショックなことがありましたが、おかげでほっこりしました♪


5月下旬に、学芸出版社・都市計画家協会関西支部主催のイベント「東日本震災復興まちづくり〜私たちは何ができるか〜」へ出席してきたのと、私が大学院にて所属するまちづくりリサーチにて「あらためて問う 震災からの復興」というオープン・リサーチが開催されました。


詳しくは両HPに記載があります。

後者の発表の中で特に印象深かったのは

  1. 阪神淡路大震災と東日本大3震災の復興の違い
  2. その中での行政、コンサル、大学教授の役割分担
  3. 被害レベル(被災場所、行政機能への影響)によるゾーニングをしていくべき

ということです。

1の阪神大震災との違いは、よく言われる被災エリアが広いということ、津波による被害が大きく復興も被災前の状態にすることが難しいということ、1995年はまだまだ経済的に右肩上がりだったのに対し(もちろんバブルの影響もありますが)、今はそうではないということ。

特に被災の規模の違いは大きく、行政職員も多く亡くなられ行政機能が麻痺している自治体もあります。
また阪神大震災の被災地は市街地だったのに対し、今回は都市も農村・漁村もある。


一方、復興の仕方ですが、トップダウン的に再生した場所に人が果たしてまた住み始めるのかという疑問があります。津波の影響を大きく受けた場所に、また人が住むことができるのかということ。
だからこそ、自治体レベルで住民の意見や、被災の状態を調査・集約する。それをもとにグランドデザインをつくる。実際に現場に入ってその青地図つくる作業(区画整理とか)はコンサルなど実務家がやっていく。そんな役割分担が必要だし、阪神大震災の時はその役割分担がしっかりなされてた(グランドデザインと大学院教授についての供述はありませんでしたが)から、まちづくり協議会という住民主体の復興まちづくりもできたし、何より早く復興できた。


前者の学芸出版社主催のイベントでは、そのグランドデザインばかりが描かれて、なんというか現実味がない話だなぁと感じたのに対し、大学のオープン・リサーチでは実務経験のある先生から「何が問題なのか」が聞けてとてもよかったなぁと思います。


今回の震災は規模も大きいし行政機能が麻痺しているところもある。その場合、自治体が位置する県がサポートする。どこが主体になるのか、どういった場合どこがサポートするのか、その体制が今回の被災地だけでなく今後の震災に備えて必要だと感じました。